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パラトリみらいサミット 出張授業【レポート】SDGsに取り組む横浜市立みなとみらい本町小学校

11/09 Mon

パラトリ2020 出品作品「サーカスアニメーション MEG -メグの世界- 」の制作・出演をしている、日本初のソーシャルサーカスカンパニーSLOW CIRCUS PROJECTによる出張授業を、横浜市立みなとみらい小学校にて行いました。

コア会期も目前に迫った11月5日は、気持ちの良い秋晴れ。8月24日には横浜市役所で行われた公開授業に参加し、ヨコハマ・パラトリエンナーレと共に学んできた5年生の子供達の前に現れたのは、SLOW CIRCUS PROJECTのパフォーマーでアカンパニスト(伴奏者)の定行夏海さんと近藤理恵さん。

この日は、ヨコハマ・パラトリエンナーレをきっかけに生まれた「アカンパニスト」という役割について、一緒に理解を深めていくのが目的です。アカンパニストとは、障害のある人との創作の可能性を一緒に広げる伴奏者。自身もプロフェッショナルのパフォーマーとして障害のあるパフォーマーと一緒になって、お互いの充実した創作体験や、最高の作品づくりを目指し活動に取り組む役割のこと。

SLOW CIRCUS PROJECTは、多様な人の個性を活かせる総合的な芸術表現である「サーカス」のパフォーマンスを通じて、「アカンパニスト」という役割の創出と育成に取り組んできました。

まずは立ち上がってハンドサインの練習です。あたまの上に大きな丸をつくって「わかった!」親指をあげて「いいね!」片手をあげて「はーい!」。身体と心を存分にほぐしてからクラスがスタートしました。アカンパニストの二人は、「はーい!」を、すごい跳躍力で体で表現していました! そして、事前にアカンパニストに関する動画を見ていた子供達から、この日のために二人にたくさんの質問が用意されていました。

「アカンパニストになって楽しかったこと、難しかったことはなに?」

という質問に、理恵さんはこう答えます。

「いろんな人、自分とは違う人と関わると、いろんなことが生まれて常に面白い。気づかなかったことに気づかされる」

夏海さんの答えはこう。

「ほんっとにそれぞれ違うんだなっていうことろが難しかった。みんなで楽しい場を作っていくために、知識も行動も必要だった」

そして、アカンパニストの二人からも、子供達に質問が返されました。

「対等とか、平等っていう言葉がたくさん出てくるけれど、対等ってなんだろう? 平等ってどういうことかな?」

子供達は口々に、

「自然にできるのが平等」

「休み時間にドッジボールするときでも、あいつ弱いからっていうのがないのが対等かな」

「だれがこうとか、個性の中で認め合える、それぞれが持っている個性がやと思わない、片っぽだけOKで片っぽはなしとか、そういのがない」

「自分のことも大切。他人事っていう壁をなくしていくのが対等に繋がるんじゃないかとおもいました」

と、活発に応えてくれます。ここで、さらにアカンパニストの二人から、質問が投げかけられました。

「自分が本当にアカンパニストになるには、得意なことが活かせるといいんだよ。自分自身が得意なことはなにか、考えてみて」

この質問には、子供達も「う〜ん」と悩んでいる様子。とっさに自分の得意なことが思い出せる子と、思い出せない子といるようです。1分間じっくりと考えてもらった後、発表してもらうと、はじめのうちは口が重たかった子も、ああでもない、こうでもないと、得意技を教えてくれました。

「人とコミュニケーションをとること」

「ピアノを引くのが得意」

「人を楽しませるのが得意」

「球技が得意」

「絵を描くこと」

「魚のことがくわしい」

「すなおに話せる」

「読むこと」

「スポーツが得意」

子供達の得意がずらりと黒板に張り出されました。こんなふうにそれぞれが自分の得意なことをわかっていたら、チャンスがきたらすぐに活かせます。困っている人がいた時に、自分の特技で助けることが自然とできるようになるかもしれません。それに、周りの人の特技がわかっていたら、積極的に頼ることができたり、困っている人には「あの人が得意だよ、頼るといいよ」と、教えることで助けられたりもします。

この「自分の特技を活かす」という視点を持てたことで、アカンパニストとは何か決まった役割や行動があるというよりも、個性を活かして人と関わっていく立場だということが、子供達にじんわりと伝わっていったようです。アカンパニストが関わる舞台には、障害者の個性とともに、アカンパニスト自身の個性も大切な要素。その組み合わせから無限大の面白さが生まれるのです。

ちなみに、理恵さん、夏海さんのアカンパニストとしての個性の活かし方はというと、、、

「私は普段、とってもオーバーリアクションで、感情表現が豊かなんです。こうやって全力で楽しさを表現すると、周りも楽しんでくれるんだよね」

と夏海さん。理恵さんは、

「面白がれることかな。楽しむってなんだか受け身。小さなことでも面白がれると、いろんなことが面白くなる」

と応えていました。子供達も、ぐっと考えが深まってきたようです。こうやって学んだ子供たちが、将来どんなまちを創造していくか、今から楽しみです。

そして、この日は、ヨコハマ・パラトリエンナーレ2020 コア会期に開催される「パラトリみらいサミット」でディスカッションをするために宿題を出しました。宿題は「日常の実体験で、『これはアカンパニストってことなんじゃないかな?』『 この人はアカンパニストだ!』と思ったことを見つける」こと。子供達とアカンパニストや世界のサーカスアーティストとの学び合いの場は、一般の方もオンラインでご覧いただけます。詳しくは詳細ページをご覧ください! お楽しみに!

 

パラトリみらいサミット
日時:11月20日(金) 10:00 – 12:30
会場:オンライン
参加費:無料
協力:横浜市立みなとみらい本町小学校
詳細はこちら:https://www.paratriennale.net/2020/mirai-summit/

 

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横浜市立みなとみらい本町小学校との学びの流れ
パラトリみらいサミット
「全人類アカンパニスト化計画!めざせ誰かの伴奏者」

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◉8/17(月)以降 / 夏休み明け
総合ディレクター栗栖良依 メッセージ動画
「アカンパニスト(伴奏者)」について、これから一緒に考えていきましょう、投げかけ

◉8/24(月)
ヨコハマ・パラトリエンナーレ 2020 公開授業
2017年パフォーマンス映像鑑賞。
多様な人が一緒に創作する様子、アカンパニストの姿を映像で体験。

◉9月〜10月
「アカンパニスト」が語る映像(10分×4本)の鑑賞
「アカンパニスト」についての知識を増やしていく

◉11月5日(木)6時間目 14:25〜15:25(60分)
アカンパニスト出張授業*本レポートのプログラム
パラトリみらいサミットに向けて実際のアカンパニスト2名(パラトリみらいサミットでファシリテーターを務める 定行夏海・近藤理恵)とふれあう。
質問コーナー、これまでの映像を見た感想など。

◉11/20(金)
パラトリみらいサミット
全人類アカンパニスト化計画を達成するには?
アカンパニストにどうしたらなれるかな?

◉11月末〜12月
振り返りの授業・まとめ
小学生たちがまとめたものに、栗栖やアカンパニストからのフィードバック

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